神秘的な京都!!森見登美彦の世界 小説『夜は短し歩けよ乙女』 

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あなたは「京都」にどのようなイメージをお持ちでしょうか?

お寺や神社、つまり寺社仏閣が多いイメージ。日本の昔の都のイメージ。日本らしい建造物や街並みも多いので、外国人観光客が多いイメージ。和菓子、和服、舞妓さんなど伝統の日本文化も残っているイメージ…などなど、このようなイメージをお応えになる方が多く、あなたも想像されたのではないでしょうか?

僕のイメージは「日本の伝統文化が色濃く残っていて、何だか神秘的なイメージ」です。

僕は1985年生まれの東京在住ですが、僕の感覚からすると日本の古い街並みや伝統、また寺社仏閣が残されている京都というのは、「懐かしい。」という感覚ではなく、逆に普段見慣れないものが多い「非日常的」な感覚であります。

ですが、京都というところは不思議なところがあり、普通は、ワクワクしたりドキドキしたり、はたまた、少し緊張したりする「非日常的」な感覚(どちらかというと高揚感)と違い、落ち着いた気持ちになったり、気分が癒されたり、清々しい気持ちになったりする感覚を生んでくれます。

これは、日本人のDNAに組み込まれている「京都という古都」に対する感情なのかな?

そんなことを考えさせられる「京都」には、「何だか神秘的なイメージ」を持っているのです。

そんな「神秘的な京都」を表現しているのが、森見登美彦さんの小説『夜は短し歩けよ乙女』です。

あらすじ

後輩である少女に恋をしている「私」は、彼女という城の外堀を埋めるべく日々彼女を追い掛け、「ナカメ作戦(ナるべくカのじょのメに留まる)」を実行し、その目に留まろうとしている。しかしその彼女はなかなか「私」の想いに気づいてくれない。2人は奇妙な人物に出会い、奇抜な事件に巻き込まれてしまう。恋愛ファンタジー。

出典:Wikipea

こちらはアニメ映画化もされた作品で、森見登美彦さんの代表作とも言える作品ではないでしょうか?

上のあらすじの通りではありますが、主人公である「先輩」(あらすじでは「私」)と「黒髪の乙女」の恋の行方が京都を舞台にコメディー調で描かれている作品です。

特徴としては、「先輩」と「黒髪の乙女」の一人称形式で交互に話が展開していくので、同じ場面をそれぞれの異なる視点で楽しめるトコロがとても面白いのです。

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■神秘的な…1 文章が神秘的

文章の表現方法が純和風(?)な感じで神秘的な雰囲気を演出しています。

例えば、冒頭のシーンでは、「主人公」の僕と「黒髪の乙女」が大学のクラブのOBである赤川先輩の結婚式に参加するシーンで新郎新婦のアツアツぶりを表現した文章が、

偕老同穴の契りを交わした新郎新婦はまさに天衣無縫と言うべく、お姫様抱っこで接吻を交わすところを写真に取られてもなお恬然としている神をも畏れぬアツアツぶりは、たちまち参会者たちを黒焦げにした。

夜は短し歩けよ乙女 本文

この古文とは言えないが、中々普段は使わない純和風(?)な感じが、作品を全体的に神秘的な雰囲気にしてくれます。

■神秘的な…2 神様が日常に溶け込んでいる

京都を舞台にして神様(?)的な人物が登場します。


出典:http://dengekionline.com/elem/000/001/456/1456947/

樋口さん:自称「天狗」です。宴会芸として、空中浮遊をしたり、口から鯉のぼりを出したりできます。そんなことが出来ますが、この作品の中では偉人的立ち位置ではなく、個性的な登場人物の一人として馴染んでいます。


出典:http://dengekionline.com/elem/000/001/456/1456947/

李白さん:京都で高利貸しをする富豪の老人です。外見から何とも神秘的ですね(笑)初登場時は先斗町に自前の三階建電車で登場します!!(THE富豪)

出典:http://dengekionline.com/elem/000/001/456/1456947/

古本市の神様:こちらは本当(?)の神様です。京都の古本市で登場します。本は次なる人の手に渡った時に再び蘇り、人と人をつないでいく。そんな考えから不逞な蒐集家から本を簒奪して世に放ちます。

■神秘的な…3 日本独特な(?)カクテルやワイン

出典:https://ameblo.jp/nagisuken/entry-11730144442.html

懐かしい!?と僕ら世代(1985年生まれ)の方でも思う人はいるかもしれない「電気ブラン」ですが、その味を再現しようとして作られた「偽電気ブラン」というお酒が出てきます。偶然できた代物らしくて味も香りも「電気ブラン」とは全然違うらしいのですが、とにかく美味しいとのこと。本作では「黒髪の乙女」が初めて「偽電気ブラン」を口にした時にこのように表現しています。

偽電気ブランは甘くも辛くもありません。想像していたような、舌の上に稲妻が走るようなものでもありません。それはただ芳醇な香りを持った無味の飲み物と言うべきものです。本来、味と香りは根を同じくするものかと思っておりましてが、このお酒に限ってはそうではないのです。口に含むたびに花が咲き、それは何ら余計な味を残さずにお腹の中へ滑ってゆき、小さな温かみに変わります。それがじつに可愛らしく、まるでお腹の中が花畑になっていくようなのです。飲んでいるうちにお腹の底から幸せになってくるのです。


夜は短し歩けよ乙女 本文

う~~ん。めちゃくちゃ飲んでみたいですね。映画の上映中にはコラボ企画で「偽電気ブラン」を出しているお店があったみたいですね。


京都、東京を中心に店をかまえる「bar moon walk」では森見登美彦作品に登場する幻のお酒「偽電気ブラン」を飲めるよ!

出典:へんてこグルメガイドhttp://asobigokoroblog.com/
出典:https://twitter.com/sciencesaru

「赤玉ポートワイン」です!こちらも懐かしいですね。昔おじいちゃんの家にあったような気がします。凄く甘くて、どちらかと言うと梅酒の葡萄味といったような、現在「ワイン」と呼ばれているものと少し違った印象ですね。

■神秘的な…4 詭弁踊り

出典:via GIFMAGAZINE

最後はこちら「詭弁踊り」です。映画化の話がでた時にこの「詭弁踊り」をどんな感じに表現するんだろうと気になった方も多いと思いますが、映画版では上の画像の通りでナイスに表現されております!!この踊りを見るためだけに映画版を見ても損はありませんね!

こんな神秘的な演出が舞台となる京都とマッチした作品になっております!

小説版も映画版も両方とてもおすすめ!!京都が好きな方はこの世界観も含めて必ず気に入ると思いますので、あなたも是非、ご覧になってくださいね!

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